岩野 孝弘
広島県広島市で生まれ、現在は呉市焼山に住んでいる私は、53歳までの34年間、1つの会社に勤め、真面目に働いてきました。それが私の人生だと信じていました。
しかし次第に、違和感や息苦しさを感じるようになりました。これが本当に自分がやりたいことなのか、人生の幸せとは何なのかという疑問が頭をよぎるようになったのです。会社で努力すれば、それなりの役職に就き、安定した生活が送れることは間違いありません。
しかし、それが私自身が求めていたものなのか。違和感は消えることなく、ついには通勤中にパニック症状を引き起こすようになりました。
ある日、尊敬していた先輩が亡くなり、それが私の人生を変える決定的な出来事となりました。「人生は一度きりなんだ」。そう強く感じ、本当にやりたいことをやって人生を全うしようと決意したのです。
もちろん、安定した会社生活を手放せば不安定になることは避けられません。周りの人に相談すれば、「やめておけ」「危ない」という言葉が返ってきました。しかし、それを乗り越えなければ、いつまでも理想を語るだけの人になってしまう。それが嫌だったのです。
そんな時、ふと整体師という職業に出会いました。一般的な考えでは、若いうちに専門学校に通い、資格を取らなければなれない職業だと思われがちです。しかし、それは単なる思い込みであることに気づきました。
「常識」という言葉に縛られ、いつの間にか思い込んでいることが多いと気づかされたのです。
私の師匠である西田 聡先生も、会社員生活から整体師へと人生の途中で大きく転身された方です。そんな実体験を持つ先生が目の前に現れ、私もまた新たな道を歩む勇気を得ました。
先輩の死をきっかけに、「本当にやりたいことをやってから人生を終えよう」と強く思い、自然と自分の進みたい道に引き寄せられる感覚を感じました。そしてすぐに整体塾の門を叩き、生き方と技術の鍛錬に励む日々が始まりました。
人の役に立つ仕事として整体師を選んだことに、今では確信を持っています。もちろん、会社員としても人の役に立つ仕事はできるでしょう。しかし、私にとっては、自分の人生が納得できる形であるかが最も重要なポイントでした。
整体師として独立したものの、道は決して平坦ではありませんでした。自営の道は想像以上に厳しく、試練の連続でした。しかし、私を頼って来てくださるお客様には感謝し、一人ひとりに真摯に向き合い続けてきました。
人は、自分の本来の道を見つけたとき、最高の幸せを感じるものです。苦労や困難はつきものですが、それらは成長のための貴重な経験であり、学びの機会でもあります。
自分らしく、自由に生きるために、整体師としての道を歩んでいます。開業5年目を迎えた「心整体 いきいき堂」ですが、これからも全身全霊をかけて、「生きる力を育む整体」を実践していく所存です。
「一灯照隅 万灯照国」
つまらない人間も「世界のため、人類のため」などと言います。 あれは寝言と変わらない。 寝言よりももっと悪い。 なにも内容がない。 自分自身のためにも、親兄弟のためにも、ろくなことができない人間が、どうして世界のために、人類のために、なんて大口きけるか。
それよりも、自分が居るその場を照らす。 これは絶対に必要なことで、また出来ることだ。 真実なことだ。 片隅を照らす！ この一灯が万灯になると「万灯照国」になる。 こういう同志が十万、百万となれば、優に日本の環境も変わりましょう。
安岡正篤さんの言葉より
